先進企業事例集

TOC研修で会社の課題を可視化
得た知識を共有する姿勢大切に

株式会社京屋染物店
代表取締役 蜂谷悠介さん
経営支援事業部マネジャー 庄子さおりさん

公開日:2025年2月12日
※インタビュー実施時の役職名を記載させて頂いております

代表取締役 蜂谷悠介さん、経営支援事業部マネジャー 庄子さおりさん

社員教育として取り組まれているTOC研修の内容について教えてください。

庄子 制約条件(TOC)研修は物理学を使って会社の業務改善を行う手法を学べるものです。業務には流れがあり、製造能力や処理能力が低い部分が流れを妨げるボトルネックとなります。自分の部署や機械は見えるので改善が図られますが、全体を俯瞰してどこがボトルネックかを特定して改善していくのは結構難しいものです。

TOC研修では、ゲームとしてわざとボトルネックの部署を作り、会社に及ぼす弊害などを体験します。それが決算書にどのように数字として表れるかを確認し、実際の会社の業務フローを見た上で改善するための方法を考えます。

経営支援事業部マネジャー 庄子さおりさん
経営支援事業部マネジャー 庄子さおりさん

TOC研修に取り組むきっかけはどんなことでしたか。

蜂谷 一言で簡単に言うと、社長の意思決定だけではメンバーが主体的になれないという課題がありました。例えば、うちの仕事でいえばデザイン、染色、縫製、出荷の流れがあり、時期によっては特定の部署に仕事が集中してしまいます。ある部署が残業をしていても、他のメンバーは仕事が終われば帰ってしまうことがあり、もっとみんなでいい状況を作れるのではと考えていました。

そんなときに出会ったのがTOC、マネジメントゲーム(MG)です。残業がどこかに偏ったり、みんなが疲弊していた理由が理論的に分かり、この法則を理解すれば効果的に助けたり、無駄なくピンポイントで注力できるということで、これは全社員でやろうとなりました。

マネジメントゲームの様子

実際に研修などを受けている社員の反応はいかがですか。

庄子 TOCに関してはメンバーには好評です。年2回必ずやりますが、結構楽しみにしています。自分たちの仕事が楽になることが体感できたからだと思います。また、みんなの仕事や、今何を抱えているのかを知りたいという社員も多く、新入社員からはTOCをやると自分の会社の業務の内容が分かるという声もいただいています。

MGに関しては、一人で社長になって意思決定で会社を作っていくゲームで、実際に決算書も作ったりします。数字が苦手だったり、自分で意思決定をする機会があまりない人は最初は戸惑いますが、すごく大事だと思っているので3カ月に1回は必ず受講してもらっています。そのため、うちのメンバーはみんな数字に強く、外部の経営者の方が来た際には、決算書の書き方やキャッシュフローの計算の仕方などをメンバーが教えたりもします。

取組の成果はどのように表れていますか。

蜂谷 メンバーはこれまで自分たちの給料や人生はコントロールできないもので、全て会社につき従うしかないものだと思っていました。MGやTOCをやると自分たちの給料も実は自分たちで決めることができると理解します。人時生産性を高めるため、創意工夫に力を注ぐことをそれぞれが考えるようになります。

このスキルを磨いたらもっと儲けが増え、生産性が高まるのではないかと考えれば、主体的に資格を取ろうという流れにつながります。そういう循環ができていると感じています。

マネジメントゲームの様子

TOCやMGのほかに社員の学びやスキルアップの面で取り組んでいる支援制度や特徴的な取組はありますか。

庄子 店舗のメンバーには販売士とビジネス系の秘書検定、ビジネス能力、マナーなどの資格を積極的に取得してもらっています。試験費用は会社負担で、資格を取得すると評価が何点上がると成長支援制度で明確に決めているので、身に付けた知識が評価に結び付くような仕組みがしっかりとあります。

蜂谷 資格を取得してもその資格の能力が生かされなければ意味がありません。会社が目指すゴールから逆算したときに、目的は資格取得ではなく、メンバー一人ひとりのスキルや知識が向上することです。なぜその資格が必要かという意義づけも大切にしています。資格取得のための学びではなく、やりたいことをかなえるための学びが一番吸収していくからです。

また、私たちの会社の成長支援制度では、どれだけ会社に貢献するように成長したか評価をする成長給が最も昇給幅が高くなっています。加えて優れた知識やスキルを取得し、それを他のメンバーにも教えることを最高評価にすることで、教え合い学び合う雰囲気になっています。

社員の学びやスキルアップに向けて今後取り組みたいこと、拡充したいことを教えてください。

庄子 数字や製造の研修に加えて、実際に事業のアイデアに関わってくる部分としては、商品の魅力を伝えたり、より良くするために他社の取組を学ぶフィールドワークにも力を入れていきたいです。

蜂谷 これをやりたい、調べたらこのスキルを獲得した方が良さそうだと社員から逆提案をもらったものに対してどんどん応援する仕組みを今後も続け、みんなの学びを後押ししていきたいです。

代表取締役 蜂谷悠介さん
代表取締役 蜂谷悠介さん

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