知識と安心感につながる資格取得
魅力的な店舗目指しセミナー実施
株式会社菅文
常務取締役 菅しのぶさん
公開日:2025年2月12日
※インタビュー実施時の役職名を記載させて頂いております

社員のスキルアップや学び直しとして取り組まれていることを教えてください。
自己啓発の一つとして産業能率大学や日本能率協会などの通信教育の受講を推奨しています。2020年、資格手当を拡充したこともあり、危険物取扱者乙種4類、DIYアドバイザー、販売士など資格取得のための講座を受ける社員が増えています。
資格によっては名札に明記されるので、ひと目で有資格者と分かります。売り場で尋ねられた時に的確に答えられる知識が身に付くだけでなく、相談しやすいというお客様の安心感にもつながります。
また、ホームセンター各店舗では商品知識勉強会も行っています。講師は当番制で、担当している商品の紹介や農薬の希釈方法など、お客様によく聞かれることなどを説明し商品情報を共有することで社員の個々の知識を高めています。ホームセンターだけでなく、住生活部門や石油部門でもメーカー様から新しい工法や商品について勉強会で教えていただき、お客様に常に新しい提案をできるようにしています。
取組を広めるために支援していることはどんなことでしょうか。
通信講座は在籍期間中に修了した場合は、業務に関するものは会社ですべて受講料を負担しています。ペン習字などの個人的な受講の場合でも半額を補助しています。また、資格取得のための講習料や受験料、その際の交通費や宿泊費などは会社で全額負担し、受講日や受験日も出勤日として扱うなど、全面的にバックアップをしています。
正社員に関わらず短時間勤務のパートナー社員の方々にもどんどん力をつけてもらいたいので、積極的に資格を取得してもらっています。正社員と同じように資格手当がつくので、モチベーションアップにつながっています。

ほかにも特徴的な取組があれば教えてください。
幹部を中心に約2年半でピーター・ドラッカーのマネジメント理論を学ぶセミナーを行いました。きっかけは、個人面接の際に若手社員から「小さいころ、ホームセンターに来た時はすごく夢のあるワクワクする売り場だった。でも今はそういう場所ではない。どうすればお客様にもっと楽しんでもらえる店にできるのか若い社員で考えていきたい」と言われたことでした。
どのようにすすめていけばいいのか考えていた時、菅陽悦社長が参加したセミナーでドラッカーの話を聞きました。その講師の先生から幹部50人が12回セミナーを受講し、ドラッカーの教えや経営の基本を学びました。参加者はセミナー後に毎回、自分の具体的実践項目を決めて取り組み、魅力的な店舗づくりについても考えを深めました。
ドラッカーセミナーで学んだことをどのように店舗運営に反映させていますか。
現在の課題は人口減少の中で、いかに店のお客様を増やしていくかです。そのため、部署ごとや幹部で定期的にマーケティング会議を開催し、お客様の困りごとは何か? お客様のお役に立てる方法はないか? お店をもっと楽しくするにはどうすればよいか? 知恵を出し、実行に移しています。
昨年は、ハンドメイド作家さんに出店をしていただいたり、会社に親しみを持っていただくため菅文ニュースを発行し、イベントの様子や地域情報を発信しました。
また、「強みで卓越する」という教えから、全社員が自分の強みを生かした目標を立てて取り組み、成果が出ています。

経験に応じた研修も行っているとお聞きしましたが、どのような内容でしょうか。
新入社員教育には特に力を入れています。研修自体は以前から行っていますが、早期の離職を防ぐため、本社での研修を長くし、1カ月半実施しています。長期の研修は、知識や作業を身に付けるだけでなく、新入社員同士のつながりを深めるという意味もあります。グループワークで一つの課題をみんなで調べ発表することで、各店舗に配属になった後も交流が続く関係性ができています。
さらに、マネージャー職務の研修やバイヤーの研修は、他社の方々との交流も兼ねて外部の研修機関に派遣しています。

取組を進める上での課題や障壁となったこと、その解決方法を教えてください。
資格を取得するときにはいろいろな手続きが必要になります。みなさん現場で働いているので、書類を書いたりする時間がなかなか取れないという課題があります。極力、受ける社員の事務作業を減らしたいという思いから、本社で手続きを代行しています。今は電子申請も増えているので、本社で一括して申請し、費用の支払いも会社側で済ませ、社員が勉強に専念できる環境を整えています。
また、店舗の社員が受講するセミナーは、会議で本社に集合する機会をとらえて実施したり、あらかじめ年間スケジュールに組み入れて通知し、勤務に支障が出ないように心掛けています。
スキルアップの取組として今後行いたいことや拡充したいことを教えてください。
最近は、女性社員でフォークリフトの資格を取得する人も出てきました。今までは男性の仕事というイメージがあったものでも、女性が活躍できる分野があります。多くの人ができるようになれば店の運営もスムーズになるので、男女問わずさまざまな資格に挑戦できるよう応援していきたいです。
