経営指針勉強会が自己啓発へ
若手の成長を促す委員会制度
信幸プロテック株式会社
代表取締役 村松守さん
公開日:2025年2月12日
※インタビュー実施時の役職名を記載させて頂いております

社員教育として取り組んでいる経営指針勉強会はどのような経緯で始まりましたか。
経営指針勉強会は、現在会長をしている村松幸雄が社長の時に始まりました。お客様の要望に応えるためがむしゃらに仕事をする中で本人が体調を崩し、社員も辞めてしまうことがありました。自分も社員も幸せになるために仕事をするのが目的なのに、これではだめだと悩んでいる時に中小企業家同友会を紹介してもらい、経営指針の大切さを学び、社員にも広めるため勉強会を始めたのがきっかけです。
経営指針勉強会の取組内容を教えてください。
始めたころは経営指針とはどういうものか、どういうことを目標にして仕事をするかを、土日を使って会長が社員に対して教えることが中心でした。徐々に聞いている社員も仕事や自分の人生について計画を作ってみようとなりました。現在は経営理念の一つである「自己の夢の実現に真摯に取り組み、物心共に豊かで幸せな人生を築きます」を実現するため、全社員が10年ビジョンと自己啓発計画、65歳までの人生計画を作成しています。
外部の講師の話を聞いたり、社員が学びたいことを取り入れるようにもしています。そうすることで、社員の視野が広がり、地域のため、環境のためなど大きな視点で発想ができるようになってきました。

経営指針勉強会以外で、社員のスキルアップの取組があれば教えてください。
早朝勉強会というものがあります。資格取得のための勉強を自分一人でやるのはなかなか大変なので、同じ資格を目指す者同士で勉強の時間を作ったり、皆で同じ実技の練習をしたりします。冬季だと解凍方法をおさらい、ほかには法律改正などの勉強もやります。資格を持っている先輩が教える場合もあり、教えるためによく調べるので、教える側の社員の成長にもつながっています。
会社でやる勉強会は、時間外の場合は基本的に残業代を付けていますが、それ以外でも例えば廃材を使った実技の練習など自宅ではできないことを自主的に行っている社員もいます。
業務に関係するものではどういった資格を取得される方が多いでしょうか。
うちの会社は設備の中でも空調機が多いので、冷媒関係の取り扱いの資格や電気工事関係の資格が必須になります。また、部門ごとにも必要な資格が違ってきます。男性は技術的な資格が多いですが、女性はパソコン関係の資格や秘書技能検定、福祉住環境コーディネーター、色彩関係などの資格取得が多くなっています。同じ部門の何年か上の先輩や部門長の資格を参考に資格取得の目標を立てるようにしています。

委員会という組織もあるとお聞きしていますが、どういった取組を行っているのでしょうか。
委員会の制度は2012年にできました。エコアクション21認証を取得するために特別編成のチームとして環境委員会を作ったのが第一歩です。同じ年に、勉強会やスキルアップに関する活動を行う共育委員会、労災防止や車両管理を行う安全委員会ができ、現在は社内報の作成や健康経営に取り組むブランディング委員会、ITを使った業務改善などに取り組むIT・レク委員会があります。全社員が委員会に所属しており、委員長や副委員長として意見をまとめる役割を担うなど、若手のリーダー経験の場にもなっています。
取組を進める上で課題や障壁になったものがあれば教えてください。
また、それをどのように解決しましたか。
経営指針勉強会に関しては、最初のころは社員もみんな自己啓発計画に何を書いていいか分からない状態で、「何のためにやっているか分からない」という不満も出ていました。少しずつ書く内容が増え、意識も、やらされているから自分ごとになってきました。習慣になるまで続けることが大切で、計画に書いたことが実現する経験を重ねることで自己の成長を実感することにつながっています。

取組の成果が実際にどんなところに表れていますか。
委員会も含めて、経営指針勉強会などで他部門の社員とも活動する機会ができたことで、部門の垣根を越えて意見を言いやすい環境になっています。大変なことがあった時に、もちろん自分の部門の人に言う場合もありますが、部門を超えて交流があると大事になる前に解決できるようになります。資格取得のような直接的な成果だけでなく、そういった間接的な成果も出てきています。
今後社員のスキルアップや学びのために取り組みたいこと拡充したいことを教えてください。
2024年度は、部門長クラスを中小企業大学校などのリーダー研修に派遣しました。その結果、若い時期から外部研修で学び、視野を広げるべきとの前向きな意見が多くありました。2025年度以降は、さらに幅広く外部研修を活用することで、20、30代の社員にリーダー感覚を養う場を多く設定し、将来ビジョンを早いうちから描いてもらえるようにしたいと考えています。
